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ある小出版社の社長の言葉

先日知り合いの詩人(職業的ではない)の新しい詩集の出版記念パーティーに出席した。普段からお付き合いさせていただいて、故高田渡さんや中川五郎さんを紹介してくれたのもこの方だ。パーティーといっても、新宿のちょっとアングラな雰囲気のお店に50?60人がぎゅーぎゅー詰め。中川五郎さんやよしだよしこさんも来ていて、「アイ・シャル・ビー・リリースト」や「ミー・アンド・ボビー・マギー」を歌ったりして、ちょっとしたミニライブ状態で楽しかった。

このときの出版元の社長の言葉が印象に残っている。
「とても素晴らしい詩集なので、ぜひお近くの図書館にリクエストして欲しい。そうすれば多くの方に読んでもらえる」というのが挨拶の中身で、結局「本を買ってくれ」とは一言も言わなかった。経営は大丈夫なのかと少し心配にはなったが、良い作品を世に送り出して、少しでも多くの人に読んでもらいたいというその心意気に感銘を受けた。読みたい本を全て購入する経済的余裕も、蔵書のスペースも無いわたしのようなものにとっては、図書館はとてもありがたいものだ。

なぜ書くのか。書きたいから、書かずにはおれないから。
書いたものをなぜ公表(出版)するのか。自分の作品を人に読んで欲しいから。
職業的な作家でも、生業とは別に表現行為を行う人でも、基本は同じだと思っていた。文章を書く人は、自分の本が図書館で貸し出され、多くの人に読まれる機会が増えるのを喜ぶものだと思っていた。ここ何年かで著作権のことに強い関心を持つまでは。

またもや三田誠広氏を引き合いに出すのも気が引けるが、「図書館への私の提言」という三田氏の著書の目次を見てほしい。
ごく簡単に言って、その主張は「図書館の無料貸し出しのせいで本の売り上げが下がっている。図書館は著作者の権利を侵害している。補償金を支払え。」というものだ。細かくは触れないが、直接には著作権法第三十八条(営利を目的としない上演等)の改正を求める動きとなる。これは著作権法第三十条?第五十条で定められた「著作権の制限」の縮小を図る主張の一環であることは言うまでも無い。(文化審議会著作権分科会での論議を経て、すでに2004年4月文化庁は2008年を目処に公共貸与権制度の導入・国からの補償金支払いを実施したい考えを示しているが、実現するかどうかは不透明。)

三田氏の日本文藝家協会をはじめとして著作(権)者側は、こうした「著作権の制限の縮小」と「著作権の拡大」(保護期間延長など)をセットで推し進めようとしている。著作(権)者の権利は肥大化し、利用者の権利、文化を享受する権利は、前から後ろから削られていくことになる。それで本当にいいのか?

知り合いの詩人も、小さな出版社の社長さんも、いま流行の言葉で言えばロングテールのそのまた先っぽに位置する存在だ。流行作家・ベストセラー作家とは立場も考えも違うのかもしれない。中川五郎さんだって、ミュージシャンとしても翻訳家・文筆家としても昔はともかく失礼ながら今はロングテール。今度著作権についての意見を聞いてみよう。

参考
公共貸与権をめぐる国際動向(国立国会図書館 カレントアウェアネスNo.286 2005年12月20日)
図書館と公共貸与権(NPO法人日本文藝著作権センター)
図書館における貸与問題についての見解(社団法人日本図書館協会 2004年3月5日)

元記事 http://blogs.yahoo.co.jp/tonko_hard/21326168.html
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