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食うべき詩(1)

再度ブログタイトルを改題することにした。

食うべき詩。

わたしは、予備知識(ある意味での先入観)なしに作品そのものと向き合いたいと考えるので、文芸論や芸術論に関心を持ったり興味を惹かれたりすることはほとんど無い。そんなわたしが「そこだよ!そこ!」と、激しく共感したのが石川啄木の「食うべき詩」だ。何年か前にこの詩論に触れて、表現や文芸や芸術一般について、自分の考え方とこんなに通底することを"あの"石川啄木が言っていたなんて!と、ものすごく嬉しく感じた。

いまだに「世間」では「芸術」や「芸術家」を何かしら特別なものとして祀り上げるのが一般的だ。「食うべき詩」の立場に立つ人は少数派だろう。もしかしたら、これから先もずっとそうなのかもしれない。しかし、ブログという新しい道具が開く「可能性」ということに注目しつつ、わたしは「食うべき詩」に拘りたい。

「食(くら)うべき詩」とは電車の車内広告でよく見た「食うべきビール」という言葉から思いついて、かりに名づけたまでである。
 謂う心は、両足を地面に喰っつけていて歌う詩ということである。実人生と何らの間隔なき心持をもって歌う詩ということである。珍味ないしはご馳走ではなく、我々の日常の食事の香の物のごとく、しかく我々に「必要」な詩ということである。――こういうことは詩を既定のある地位から引下すことであるかもしれないが、私からいえば我々の生活にあってもなくても何の増減のなかった詩を、必要な物の一つにするゆえんである。詩の存在の理由を肯定するただ一つの途である。

詩は古典的でなければならぬとは思わぬけれども、現在の日常語は詩語としてはあまりに蕪雑である、混乱している、洗練されていない。という議論があった。これは比較的有力な議論であった。しかしこの議論には、詩そのものを高価なる装飾品のごとく、詩人を普通人以上、もしくは以外のごとく考え、または取扱おうとする根本の誤謬が潜んでいる。同時に、「現代の日本人の感情は、詩とするにはあまりに蕪雑である、混乱している、洗練されていない」という自滅的の論理を含んでいる。

最も手取早くいえば私は詩人という特殊なる人間の存在を否定する。詩を書く人を他の人が詩人と呼ぶのは差支ないが、その当人が自分は詩人であると思ってはいけない、いけないといっては妥当を欠くかもしれないが、そう思うことによってその人の書く詩は堕落する……我々に不必要なものになる。詩人たる資格は三つある。詩人はまず第一に「人」でなければならぬ。第二に「人」でなければならぬ。第三に「人」でなければならぬ。そうしてじつに普通人のもっているすべての物をもっているところの人でなければならぬ。
 いい方がだいぶ混乱したが、一括すれば、今までの詩人のように直接詩と関係のない事物に対しては、興味も熱心も希望ももっていない――餓えたる犬の食を求むるごとくにただただ詩を求め探している詩人は極力排斥すべきである。意志薄弱なる空想家、自己および自己の生活を厳粛なる理性の判断から回避している卑怯者、劣敗者の心を筆にし口にしてわずかに慰めている臆病者、暇ある時に玩具を弄ぶような心をもって詩を書きかつ読むいわゆる愛詩家、および自己の神経組織の不健全なことを心に誇る偽患者、ないしはそれらの模倣者等、すべて詩のために詩を書く種類の詩人は極力排斥すべきである。むろん詩を書くということは何人にあっても「天職」であるべき理由がない。「我は詩人なり」という不必要な自覚が、いかに従来の詩を堕落せしめたか。「我は文学者なり」という不必要な自覚が、いかに現在において現在の文学を我々の必要から遠ざからしめつつあるか。
 すなわち真の詩人とは、自己を改善し自己の哲学を実行せんとするに政治家のごとき勇気を有し、自己の生活を統一するに実業家のごとき熱心を有し、そうしてつねに科学者のごとき明敏なる判断と野蛮人のごとき卒直なる態度をもって、自己の心に起りくる時々刻々の変化を、飾らず偽らず、きわめて平気に正直に記載し報告するところの人でなければならぬ。

以上青空文庫 石川啄木「弓町より」から引用。著作権切れなので存分に引用します!

わたしの愛する文章や絵や音楽や、そして料理も「食うべき詩」なのだ。もちろんブログ記事も。

長くなるので、改題に至った内的必然性については次稿で!

ブリ大根
食うべきブリ大根。きしし!!

食うべき詩(1)
食うべき詩(2)
食うべき詩(3)
食うべき詩(4)

元記事 http://blogs.yahoo.co.jp/tonko_hard/37187906.html
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