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雨上がりの商店街

三つ編笑顔

覚えているだろうか。梅雨時の土曜日の午後。学校からの帰り道、電車を降りて駅を出ると雨は止んでいた。駅前のパン屋のショーケースに二つだけ残っていたシベリアを買った。紙袋に入れてもらって、二人で食べながら商店街を歩いた。古い洋品屋に昭和の頃から立っている学生服のマネキン人形。鼻や頬が少し欠けて、褪色と埃で変な顔色になっているのを見て、いつものように顔を見合わせて笑った。角の煙草屋まで来たときに、君は小さな声をあげて首をすくめた。街灯に飾られた季節外れの桜の造花から落ちた水滴が、うまい具合に首とカラーの隙間に入ったから。

古本屋に入って、君は文庫本の「国家と革命」と「なにをなすべきか」を買い、わたしはハイジの原作を買った。ハイジはセリフまでアニメと同じだったよ。そうそう、白パンも黒パンも自分で焼くとどっちもおいしいよ。後になって「国家と革命」も「なにをなすべきか」も、それに「一歩前進、二歩後退」も読んだけどあまり頭に入らなかった。きしし!!

国道を渡って、駅から二つ目のバス停にいつものように着いた。もう二人で歩くことは多分ないからゆっくり歩いたけど、もう着いてしまった。すぐにバスは来て、いつものように「それじゃ」と言って君は持っていてくれた傘をわたしに手渡した。動き出したバスの中からわたしは一度だけ君を見て、それからまっすぐ前を向いた。だから君が、走り去るバスを見送ったのか、すぐに背中を向けて歩き出したのかは知らない。

あれから何年たったんだろう。わたしは毎日をこうしてやり過ごしているけど、君は何か大切なものをつかんだろうか。

元記事 http://blogs.yahoo.co.jp/tonko_hard/36740084.html
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